-
00
現代法学の潮流史 — 概要
自然法論と法実証主義の対立から法社会学・法と経済学・批判法学、そして技術と多元性をめぐる現代の議論までを、学説の系譜に沿って見渡す入門ガイド
-
01
現代法学の見取り図 — 潮流をどう捉えるか
法哲学と法社会学と法解釈学の分業、規範的探究と経験的探究、学派の系譜と論争の連鎖
-
02
法とは何か — 定義をめぐる問い
強制を伴う社会規範、承認による妥当、実効性と正統性、定義の争いが実践に及ぼす影響
-
03
自然法論 — 実定法を超える基準
理性や人間本性に基づく規範、正しくない法は法かという問い、現代における穏健な再定式化
-
04
法実証主義 — 法と道徳の分離
社会的事実としての法、命令説から規則説へ、記述的アプローチ、道徳的評価との区別
-
05
分析法学の出発点 — 主権者の命令
ベンサムとオースティンの構想、制裁を伴う命令、慣習法や憲法をうまく説明できないという批判
-
06
純粋法学 — 段階構造と根本規範
ケルゼンによる法の科学、当為と存在の峻別、法体系の階層構造、根本規範という前提の役割
-
07
法の概念 — 一次規則と二次規則
ハートによる規則の結合という説明、承認の規則、法の開かれた構造、内的観点という着眼
-
08
ハート・フラー論争 — 悪法と法の内在道徳
一九五〇年代の応酬、不正な法の効力、手続的な合法性の八つの要請、法の目的をめぐる対立
-
09
ラートブルフの定式 — 耐えがたい不正
第二次大戦後に示された議論、法的安定性と正義の衝突、極端な不正の場合の効力否定の主張
-
10
解釈の一貫性 — 法の統合性という理想
ドゥオーキンによる原理と準則の区別、唯一の正しい答えという主張、連載小説の比喩
-
11
権利論 — 切り札としての権利
個人の権利が政策的考慮に優先するという発想、平等な配慮と尊重、功利主義への批判
-
12
法の権威 — 従う理由はどこにあるか
ラズによる排除的理由と役立ちテーゼ、正統的権威の条件、法の主張する権威と実際の服従
-
13
包摂的法実証主義と排他的法実証主義
承認の規則に道徳的基準を組み込めるかという争点、法の同定における道徳の役割の位置づけ
-
14
法的推論 — 三段論法を超えて
大前提の確定と事実の評価、法的三段論法の限界、原則と例外、利益衡量と比例原則の作法
-
15
法解釈の方法 — 基準と優先順位
文理と体系と沿革と目的、立法者意思と客観的意思、類推と縮小解釈、憲法適合的解釈
-
16
法の欠缺と裁量 — 難事件の処理
規則が答えを与えない場面、裁判官の創造的作用、統制の手法、予測可能性と正義の緊張
-
17
先例と法的安定性 — 変更の作法
判例の拘束力の根拠、変更の要件と将来効、信頼保護、判例法理の形成過程を追跡する研究
-
18
法教義学 — 体系化の営み
概念と制度の整序、通説の形成、比較と沿革の参照、実務への提供物としての体系書と注釈書
-
19
日本の法解釈論争 — 一九五〇年代の問い
解釈における価値判断の自覚を促した提起、学説の客観性と主観性、法律家の責任という論点
-
20
法解釈方法論の再燃 — 一九七〇年代以降
利益衡量論と論証の合理性をめぐる議論、法的思考の型、説得と検証可能性という基準
-
21
法社会学の成立 — 生ける法への注目
国家法の外にある規範の観察、法と社会の相互作用、フィールド調査と統計という方法の導入
-
22
法の合理化 — 支配の社会学から
形式合理的な法と実質合理的な法、官僚制と職業法曹、近代資本主義との関係をめぐる理論
-
23
日本の法社会学 — 法意識という主題
一九六〇年代の法意識論、契約と紛争処理の実態調査、権利意識と和解志向をめぐる議論と批判
-
24
紛争処理の研究 — 訴訟に至る前
紛争の生成と名づけと非難と請求、交渉と回避、訴訟利用率の国際比較、アクセスの障壁
-
25
法の実効性 — 遵守はなぜ起きるか
制裁への恐れと正統性への信頼、規範の内面化、抑止理論の検証、遵守を促す設計という発想
-
26
アメリカ・リーガル・リアリズム — 現実の判決
書物の法と行動の法、判決の予測、事実認定の重要性、法規範の不確定性という主張
-
27
社会学的法学 — 利益の調整
パウンドに代表される主張、社会的利益の目録、法の社会的工学という比喩、政策志向の萌芽
-
28
法過程学派 — 制度的能力への着目
どの機関が判断するのに適しているかという問い、司法の限界、手続的正当化と中立的原理
-
29
法と経済学 — 効率性という視座
取引費用と権利配分、責任ルールと財産ルール、法の帰結の予測、規範的主張との区別
-
30
社会的費用と権利配分 — 交渉の理論
当事者間の交渉可能性、取引費用がゼロでない現実、法制度が資源配分に及ぼす影響の分析
-
31
不法行為の経済分析 — 抑止と保険
注意水準と過失基準、厳格責任の効果、損害賠償の機能、保険市場との相互作用の検討
-
32
契約と会社の経済分析 — 不完備契約
情報の非対称と機会主義、任意規定の埋め合わせ機能、企業統治とインセンティブの設計
-
33
行動法と経済学 — 限定合理性
ヒューリスティクスとバイアス、初期設定の効果、ナッジによる誘導、その自律性への懸念
-
34
実証法学 — データで法を測る
判決や統計の計量分析、自然実験と因果推論、法改正の効果測定、再現可能性という課題
-
35
批判法学 — 法の政治性の暴露
法の不確定性、教義の矛盾、リベラルな法秩序への批判、法教育と職業構造への問題提起
-
36
フェミニズム法学 — ジェンダーの視点
公私二分論の批判、中立性が隠す偏り、性暴力と労働をめぐる法理、多様な立場からの応答
-
37
批判的人種理論 — 構造としての差別
意図なき差別と制度的不平等、物語という手法、平等法理の限界、学問的評価をめぐる論争
-
38
ポストコロニアルの法理論 — 周縁からの問い
国際法と帝国の関係、法移植の権力性、現地知の再評価、普遍主義の再検討という視座
-
39
法多元主義 — 国家法だけではない秩序
慣習法と宗教法と自主規範の併存、国家法との交渉、越境的な私的規範秩序という現代的現象
-
40
システムとしての法 — 自己準拠の理論
法システムの作動上の閉鎖と認知上の開放、合法と不合法というコード、他領域との構造的結合
-
41
討議理論と法 — 手続による正統化
妥当性の主張と討議、法と道徳の相補、民主的立法過程の正統性、公共圏における理由の交換
-
42
正義論の展開 — 公正としての正義
一九七一年の著作、原初状態と無知のヴェール、正義の二原理、格差原理をめぐる論争の広がり
-
43
リバタリアンの反論 — 権原の理論
自己所有と取得と移転の正当性、再分配への懐疑、最小国家の擁護、リベラリズムとの対立軸
-
44
共同体論と法 — 埋め込まれた自己
負荷なき自我への批判、共通善と徳、市民的共和主義、権利中心主義への異議とその制度的含意
-
45
潜在能力アプローチ — 何の平等か
資源ではなく為しうることへの着目、機能と潜在能力、開発と人権の接続、指標化の試み
-
46
功利主義と法 — 帰結による評価
最大幸福原理、規則功利主義、費用便益分析との接続、権利を切り札とする立場からの批判
-
47
徳倫理と法 — 判断者の資質
実践知と衡平、裁判官の徳、専門職倫理の基礎づけ、規則主義との補完的な位置づけ
-
48
人権の哲学 — 基礎づけをめぐる問い
尊厳と自律と必要という基礎づけ、普遍性と文化相対主義、人権のインフレという懸念
-
49
立憲主義の理論 — 多数決の制約
硬性憲法と司法審査の正当化、死者の支配という難点、対話理論、弱い司法審査という設計
-
50
民主主義と司法 — 対抗多数決の困難
選挙で選ばれない裁判官の権限、代表の補強という説明、政治部門との相互作用の実証研究
-
51
立法学 — よい法律をつくる技術
立法事実の把握、目的と手段の適合、条文の明確性、施行後の評価と改廃、立法過程の透明性
-
52
規制の理論 — 手法の選択
命令統制と経済的手法と情報開示、自主規制と共同規制、応答的規制、規制の失敗への対処
-
53
法とガバナンス — 国家を超える規律
民間標準と認証、グローバルな行政法、多層的規律、正統性と説明責任の確保という難問
-
54
法とテクノロジー — コードによる規律
アーキテクチャによる行動制御、技術的手段と法規範の関係、設計段階での価値の組み込み
-
55
人工知能と法 — 判断の自動化
予測モデルの利用と説明可能性、責任の帰属、偏りの再生産、人による判断の留保という論点
-
56
データと法 — 情報をめぐる秩序
個人情報の保護と利活用、データの帰属と共有、匿名化の限界、越境移転と規制の域外適用
-
57
リーガルテックと実務 — 道具の変化
文書作成と調査の自動化、契約管理、紛争予測、法律事務の再編と専門職の役割の変化
-
58
法情報学 — 法を情報として扱う
法令と判例のデータベース、構造化と識別子、機械可読な法、オープンデータとしての法情報
-
59
法とデザイン — 伝わる法をつくる
契約書や通知の可読性、図解と視覚化、利用者調査に基づく改善、行動科学の応用と限界
-
60
法と言語 — 意味をめぐる争い
曖昧さと多義性、語用論的解釈、コーパスを用いた通常の意味の探究、法律用語の翻訳問題
-
61
法と文学 — 物語としての法
判決文の叙述、証言と記憶、文学作品に描かれた法、法の解釈と文学解釈の類比という議論
-
62
法と歴史 — 過去の扱い方
沿革解釈と原意主義、歴史研究の政治的利用、移行期正義における歴史の確定という課題
-
63
法と心理学 — 判断のバイアス
目撃証言と記憶の可塑性、取調べと虚偽自白、量刑の一貫性、陪審や裁判員の意思決定研究
-
64
法と神経科学 — 責任能力の再考
意思の自由をめぐる知見、責任非難の基礎づけ、脳画像の証拠能力、科学的知見の過大評価への警戒
-
65
法と医療 — 生命をめぐる規律
インフォームド・コンセント、終末期の意思決定、生殖補助医療、臓器移植、研究倫理と審査
-
66
法と環境思想 — 世代を超える責任
将来世代への義務、予防原則、自然の権利という主張、環境訴訟における原告適格の拡張
-
67
動物と法 — 主体性をめぐる議論
物としての扱いからの見直し、福祉規制と権利論、実験と畜産の規律、法人格論との関係
-
68
法とケア — 依存を前提とする理論
ケアの倫理、依存労働と正義、家族と福祉の法的枠組み、自律像の見直しという理論的含意
-
69
障害の社会モデルと法 — 障壁の除去
医学モデルからの転換、合理的配慮の法的構成、意思決定支援、参加を可能にする制度設計
-
70
子どもの権利論 — 保護と自律のあいだ
最善の利益と意見表明権、年齢による能力の段階、親の権利との調整、代弁と参加の仕組み
-
71
多文化主義と法 — 差異への対応
文化的抗弁の可否、宗教的実践と一般法、集団の権利と個人の権利、少数者内の少数者問題
-
72
宗教と法の現代的関係 — 中立性の内容
政教分離の類型、良心的拒否の扱い、宗教団体の自律、公共空間における宗教的表現の位置
-
73
移行期正義 — 過去の不正への対応
刑事訴追と真実委員会、恩赦、賠償と記念、和解と責任追及の緊張、制度設計の比較研究
-
74
グローバル化と法 — 国境を越える規律
規制の競争と協調、域外適用、私的紛争解決の国際化、国家の規制権限の相対化という現象
-
75
比較法理論の現代化 — 比較の方法
機能主義の再検討、法文化と文脈、翻訳と概念のずれ、数量化された法指標への批判的検討
-
76
法と開発 — 制度が成長を生むのか
法の支配と経済発展の関係をめぐる議論、法整備支援の実践、現地の受容と評価指標の妥当性
-
77
法整備支援 — 制度を移す実践
起草支援と人材育成、現地法曹との協働、援助国の法系の影響、持続性と主体性という課題
-
78
法の支配 — 概念の広さと狭さ
形式的理解と実質的理解、恣意の排除と権利保障、指標による測定、政治的スローガン化への警戒
-
79
手続的正義 — 扱われ方の重み
発言の機会と中立性と敬意と信頼、当事者の納得と制度への信頼、実証研究による裏づけ
-
80
修復的司法 — 関係の回復
被害者と加害者の対話、共同体の関与、応報との関係、少年司法や地域紛争での実践と評価
-
81
刑罰理論の現代 — 何のために罰するか
応報と抑止と無害化と改善、表出的機能、量刑の一貫性、過剰収容と刑罰の縮減という議論
-
82
予防と安全の法 — リスクへの傾斜
危険から危惧へ、事前介入の拡大、監視技術、自由と安全の均衡、比例原則による統制
-
83
緊急事態と法 — 例外の法的統制
非常措置の要件と期限、司法審査の可否、常態化への警戒、比較憲法上の類型と経験
-
84
法の実現手段 — 民事・刑事・行政の組合せ
私人による執行と公的執行、課徴金と制裁金、団体訴訟、抑止と補償の役割分担の設計
-
85
専門職論 — 法曹は何をする人か
自律と規律、依頼者への忠実と公益、営利化と大規模化、市民への説明責任という現代的課題
-
86
法教育 — 市民のための法
学校教育における法の学び、模擬裁判、リーガルリテラシー、専門家と市民の知識格差の解消
-
87
法の可視化とアクセス — 分かる法へ
法令の平易化、要約と図解、多言語対応、障害のある人への配慮、情報の非対称の縮小
-
88
司法アクセス — 使える司法にするために
費用と地理と情報の障壁、法律扶助、簡易な手続、オンライン紛争解決、支援の担い手の多様化
-
89
法の統計的把握 — 見えるようにする
司法統計と行政統計、指標の設計と誤用、匿名化と公開、比較可能性と国際的なデータ整備
-
90
法と経済的不平等 — 分配への視座
所有と相続の法が生む格差、税と社会保障の法的枠組み、労働法の役割、機会の平等という論点
-
91
法とコモンズ — 共有資源の管理
入会や漁業権の伝統、自主的な統治ルールの研究、知識のコモンズ、囲い込みへの批判的検討
-
92
学際研究の作法 — 他分野と組む
共同研究の設計、方法論の相互理解、用語の翻訳、査読と評価の基準、成果の実務への還元
-
93
法学方法論の現在 — 何を問うのか
規範的探究と記述的探究の役割分担、教義学の意義、実証との接続、理論の実践的有用性
-
94
学説の受容と変容 — 輸入学問の宿命
外国学説の紹介と自国化、翻訳語による変質、独自の展開、参照先の多様化という近年の傾向
-
95
法思想の東アジア的展開 — 固有の問い
継受の経験に根ざした理論、伝統的規範との対話、地域内の相互参照、普遍と個別をめぐる議論
-
96
現代法学の論争地図 — 対立軸の整理
法と道徳、規則と裁量、効率と公正、普遍と個別、専門と市民という繰り返し現れる対立軸
-
97
法学の社会的責任 — 何のための学問か
批判と提言の役割、政策形成への関与と距離、被害当事者との関係、学問の自由と自律の擁護
-
98
現代法学研究の課題 — これからの主題
技術と多元性と持続可能性、方法の刷新、実証と規範の往復、次世代への知の継承という課題
-
99
現代法学の潮流史 — 退避・古典資料archive
旧版教材、歴史的論文、廃止手法のアーカイブなど、現行分類から退避した資料の保管区分